freeeのセミナーに参加して感じたこと『高付加価値業務とはただの言葉じゃ』編
9月29日にクラウド会計ソフトfreeeのセミナー【AI時代を生き抜く会計事務所の経営術】がありました。
対象は会計事務所向けで、代表の佐々木大輔さんや、技術責任者CTO横路 隆さんなども登壇されるとのことで、今後起きうる会計業界の展望感と自分が実務で感じている肌感覚に差異はないかを確認する目的で参加させていただきました。
当日のセミナーは、配布資料なし録音撮影などもできないクローズドなセミナーでしたので、詳しい内容はこのブログでは触れませんが、セミナーは大変大変有意義でした。
すごく目新しい情報があったというよりは、自分自身も今試行錯誤していることと共感する部分が多かったのと、次の一歩の道筋が明確になりました。
3年後くらいに振り返って時に、
っと言っている自分が想像できるくらいです。
そんな感じる事が多かったセミナーのうち今回は2点に絞って話を少々。
今回は前編で『高付加価値業務とはただの言葉じゃ』という話です。
ホームページを見ると、freeeにしろMFクラウド会計にしろ別のクラウド会計ベンダーにしても、クラウド会計を使えば業務が効率化します。
業務を効率化して
みたいな宣伝文句がありますよね。
自分は、その宣伝文句をいつも冷めた目で見ているんですよね。
『高付加価値?そんなものないんだよ!あったらクラウド会計入れなくてもやっているしね』と
で、今回もそういうフワッとした耳障りのいい言葉の説明なのだろうなぁと思っていたらその説明をしたプロダクトマネージャーの根木さんは違いました。
高付加価値業務へシフトと言いたいところなんですが、高付加価値の業務ってそんなにすぐに作れるものではないのですよね。でも、そもそも時間を確保しないと考えること作ることも出来ませんので時間を確保するためにもまずは事務所内の効率化が先なんですよね。
というニュアンスで効率化の為の施策を自計化などと比較していくつも紹介していた。
そうそうそれ!!!と
効率化したら、高付加価値業務があるわけじゃないんですよね。効率化して暇を作る。暇を作って高付加価値業務を地道に作っていく。
当たり前っちゃ当たり前なんですが、意外とそんな発想がない方が多い。
先日お話をする機会があった20人程度の税理士法人の代表の方は、こんなこと言っていました。
クラウド会計とかクラウドツールなんかで効率化して、勤務時間が余ったら社員はネットサーフィンするだけだから今のままでいいんだよね
と。その発想一見もっともらしいですけどダメですよね。一見社員の仕事を奪わないようにと優しさのつもりなのかもしれませんけど、全然優しくない。
だって世の中では、もうテクノロジーの進化でそんな事は人間のやる仕事でない。
それをやらせている。
気がついた時にはそんな仕事の価値は殆ど0に近い状態になっている。
確かに、効率化して暇になったらネットサーフィンをするかもしれないが、その時間に何をすればスキルアップするのか、つまり高付加価値を付けることができる様にシフトさせるのかが大事ですよね。もちろん終身雇用で面倒をみれるならそれはそれで良いのかもしれませんが。
この話は、以前自分が【パン業界の本質を知ってパン職人をやめた話】で書いたことと全く同じだと感じました。今会計業界に起きていることは、20年前にパン職人だった自分が会計業界に入ったのと全く同じ構図でした。
【パン職人目線か消費者目線か】これ、ついついパン職人の立場からしてみると、冷凍生地の便利さは認識しても、やはり手作りの良さがある作りたてはうちの方が美味しい、と思いがち。実際は確かに作りたてはうまい。ただ消費者にとっては作りたてでどっちが美味しいかより、お店に行った時に作りたてがあるかないかが重要。そうすると、パンは職人が作るよりも工場で作って出来たてを頻繁に消費者に届けたほうが、満足する消費者の総数は絶対に多い。自分が朝早く起きて作ったパンより、工場で作ったパンの方が結果美味しいものが出来るなら、パン職人をやってる意味ないよな、と考え、違う道に舵をきった。【パン業界の本質を知ってパン職人をやめた話】より
自分が2016年から取り組んでいるもまさに、高付加価値業務へのシフトの試行錯誤だったりするのです。
クラウド会計で効率化して実務の時間を短縮し、ブログを書く。動画を作る。セミナーで全国を回る。※10月11日から開催します。そして別の記事で詳しく書きたいと思いますが、ブログや動画に加えて表現の可能性を広げるために、真打ちの立川佐平次さんから落語を習っています。
別のブログ【人工知能時代に生き残るには依存しないこと】でも言っていることをもう一度言っておきます。
いいアイデアも、高付加価値のきっかけもまずは【暇】でないとなと感じています。
天下無双とはただの言葉じゃ
このブログのタイトル『高付加価値業務とはただの言葉じゃ』は、自分が愛読しているバガボンドの名言をもじっています。
天下無双になりたくて、名のしれた武芸者に戦いを挑んで行く宮本武蔵。
そんな旅を続けていく中で、世の中に天下無双と名が知れ渡っている柳生石舟斎(やぎゅうせきしゅうさい)が武蔵に言うんですよね。『天下無双とはただの言葉じゃ』と
これと似た感じかなと。クラウド会計で効率化した先に、高付加価値業務なんてものはない。
ただ、あーでもないこうでもない試行錯誤をするうちに点と点が繋がって高付加価値業務になっている。(かもしれない。。。)
そのためにはやっぱり時間、つまり暇が必要で、圧倒的な暇を作るためにはやっぱりクラウド会計や他のクラウドツールを使う事って必要だよね。という自分の中でのぐるぐる回って着地したというだけの話です。
ただ、正直にいうとここ数ヶ月いろいろ考えることがありまして、自分はやりたいことは何なのか、自分が表現したいことは何なのか。それで、世の中に貢献できることでもあるのかないのか。そんな思いを巡らせた挙句バガボンドの名言をまた使わせもらえば
『殺し合いの螺旋から、俺は降りる』
が答えなのではないかと思ってました。何もしないほうが良いじゃん。戦いの螺旋から降りて平穏が一番一番と…
これは、次回の後編で詳しく話をしますが、セミナー聞いてても感じたのは今現在は将来はこうなるという壮大なビジョンと実務で起きている間で大きなジレンマを抱えているということ。
そんな事はわかってました。で自分はセミナーに参加してその壮大なビジョンを聞いたらなんて思うのかなぁて思ったのです。
それいいね!
と思うのかそれとも
荒唐無稽の青くさい事を言ってんなぁ無理無理やめておけ
と思うのか、まだ大丈夫でした。
クラウドERP事業部マネージャー の高村 大器さんの話で、中規模法人に営業にいって最初の数ヶ月全然相手にしてもらえずに、正直くじけた話とか『わかるわぁぁ』とか共感したりして。
自分でいつも言い聞かせてるじゃないか
と。そんな事を思い返したりしてぐるぐる考えていたら螺旋からまだ降りない選択をしました。(高付加価値業務を探すことから降りないという意味で)
そんな事を感じさせてくれたセミナーでした。前編は以上です。