freeeの描くERP構想について (ドラフト)

もう一つ、クラウド会計で業務を効率化していく先にある、請求業務からの消込や振込業務、更には銀行の与信判定などをfreee内で行うERP構想。
展望の話や、実際の導入事例などの話を、代表の佐々木大輔さんや、○○さんが話されていました。
このERP構想については、描いている青写真と実際に実務の世界で起きていることには若干の温度差があってまだ悪戦苦闘中なんだろうなぁという感想を持ちました。
あくまで私見ですがそんな話を少々。

Freeeが2013年にサービスを開始してから今2017年で5年経ちました。
当社は会計ソフトだけの機能が労務、マイナンバー管理、法人の申告ソフトとどんどんやれることが増えてきて、ERP構想と言うのは当然の流れですよね。
そもそも、2014年に『会社の経理を全自動化する本』の執筆時点からERP的な思考で開発している事は知っていましたので、順調に機能やサービスを開発しているのは、すごいなぁと感嘆します。
ただ、完全な私見ですがfreeeの中で開発している人たちからすると、
『自分たちの開発するプロダクトや思想に、会計事務所やユーザーがなかなかついてこないなぁぁ』
と歯痒い思いをしているのではないでしょうか?※繰り返しますが、あくまで私見であり推測です。Freeeの中の人にそのような意見を聞いたことはありません。

自分は、このERP構想を実現するのは、超えなければ行けない幾つかのハードルがあると考えています。

自分が思うにこのERP構想。税理士試験で例えるのであれば受験予備校のカリキュラムやテキストはある。試験勉強をしたい受講生もいる。でもテキストをわかりやすく伝えカリキュラムを遂行してくれる講師がいない(少ない)が今の状態だと思っています。
別の例えで、脚本と見たい人はいるが役者がいないドラマ。楽譜と聴衆はいるが演奏者がいないオーケストラみたいない感じでしょうか
自分は税理士試験の勉強の前に日商簿記検定3級から勉強を始めまして2級1級と合格し税理士試験を受験したのですが、簿記の3級とか2級って受験予備校や映像教材などなくても結構受かるのです。
ただ、簿記1級はテキストだけ買って黙々と自分のペースで勉強してても受かるのは至難の技です。
ましてや税理士試験を、受験予備校のテキストとカリキュラムだけ遂行して合格したという人にはあったことがありません。
何がいいたいのかというと、資格試験も難易度が上がるにしたがって、どういう手順で勉強するのか、どういう教え方をすれば理解できるのかなど複雑な手順が必要になるということなのです。

この例えに当てはめれば、freeeが提唱するERP構想やプロダクトはカリキュラムや教材と言えます。進むべき道つまりカリキュラム(構想)はあってそのための教材(プロダクト)はある。そして受験生(煩雑なバックオフィス業務に忙殺されている中小企業者などのニーズ)もある。
でもそれを教える講師がいない。ではその講師はだれか?その一番の候補は当然会計事務所という事になります。

クラウドに強い会計事務所は…
ではなぜ、freeeの提唱するERP構想を遂行できる会計事務所がいないのかという話ですが、現在の自分の事務所と中規模(30人)の税理士法人の例で考えてみます。
廣升健生税理士事務所は、このブログを読んでいただいていればおわかりの通り個人の税理士事務所で、仕事をいただくきっかけになるのは殆どの場合はホームページを介してです。
クラウド会計が世の中にほとんど認知されていなかった2014年に比べれば、法人のお客様も増えましたがそれでも属性はまだ事業開始後数年のスタートアップの会社様や比較的大きな会社様でも売上高は10億に満たない程度です。
つまり自分の事務所の場合は、ERP構想などという10数人以上のメンバーがfreeeに入って請求業務や経費精算を行うようなフローを構築するお客様がいないという事になります。
ちなみに、業務の効率化という意味では、事務所のメンバーとクライアント様はグーグルドライブで情報の共有化やペーパーレス化を突き詰めているので、それで十分効率化が完了しています。
対して、中規模の税理士法人の場合は、ある程度の規模になっているという事は裏返しである一定以上の年数の事務所の運営実績と、顧問先獲得のための金融機関等との密な関係があるはずです。
そのような税理士法人は、規模的にはfreeeのERP構想に最適な顧問先はいるはずです。ただ、当然所長が比較的高齢の場合も多くまた社員も多いためITを使いこなすスキルも千差万別。
また、使っている会計ソフトや申告システムも多数あり、クラウド会計を導入したとしても、あくまでもワンオブゼム。つまり多数ある会計ソフトのなかの一つの選択肢がクラウドになったに過ぎず、会計事務所のスタッフレベルでクラウドのメリットをあまり感じることが出来ないので、結果あまりアクティブにおすすめしないのではないでしょうか。
つまり、クラウドに精通している税理士事務所は、導入するクライアントの規模が大きくなく、大きいクライアントを持つ会計事務所はクラウド会計を導入していないというジレンマです。※繰り返しになりますが、このジレンマはクラウド会計業界(というのが適切かはわかりませんが)が直面しているジレンマだと思います。

いやいやそんなことはない、うちは30人程度の規模で事務所のクラウド化も進んでばんばんクラウド会計ERP構想を遂行している!という事務所もあると思います。
断言できます。そういう事務所は最強です。
クラウド会計以前に既に、関係性を構築した顧問先がいてその顧問先にクラウド会計でERP構築をするが一番よい方法です。
正しい理解で正しい導入プロセスを踏めばクラウド会計は規模が多くなればなるほどそのメリットは大きくなるのは、絶対だからです。
これこそ正に前回のブログで論点とした【高付加価値業務】ですね。笑
ただ、まだそれが出来ている中規模以上の税理士法人は稀でそういう事務所の地道な開拓に苦心されているのだろうなと感じました。

ただ、進むべきを道(展望)を見定めて茨の道でも進んでいかなければ、新しい価値はできないわけで、新たな価値創造、市場構築にむけて邁進している力強さも感じることができた有意義なセミナーでした。

そして自分自身にも言い聞かせることできました。
この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。迷わず行けよ。行けばわかるさ。 アントニオ猪木 【道】より

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