自身の税理士試験の勉強適正を簿記一級の試験で判断する
税理士試験で一番怖いのは何かといえば、1、2科目の合格はしたが、その後合格出来ずに税理士試験を諦めてしまう、いわゆる、【科目合格者】のまま試験勉強を休止してしまうこと。
税理士試験の最大の特徴は科目合格制であり、合格した科目は一生経歴として残る事である。その為、受験予備校などは、【仕事をしながら受験できる】ことや、【ある程度長い時間がかかっても資格取得を目指すことができる】ことをこの資格試験のメリットとしてアピールしている場合が多い。
もちろん、上記の話は真実であるし、45歳から受験を開始し受験期間15年の末、60歳の還暦の年に合格した方なども知っているのだが、反面、科目合格はしたものの、その後仕事や家庭の事情などで休戦状態という方が数多くいるのも事実である。
自分も受験生時代や大原簿記学校の講師時代には【強く存在した価値観 】であるが、税理士試験を受験している仲間内では、【科目合格】が心の支えになる。
もちろん科目合格の数が0よりは、1つでも2つでも受かっていれば、合格科目のない者からすればうらやましい限りだし、受かっている自分自身も得意満面(とくいまんめん)といった気分になるものだ。
ただし、いざこの【税理士試験受験業界】の外に出てしまえば、科目合格というのはさほど意味を持たない。要するに坎井之蛙(かんせいのあ)だ。(もちろん、会計事務所のスタッフなどで就職活動をするのであれば、科目が多いほうが就職で有利であるし、待遇も多少厚遇されるのはいうまでもないが)
そうであると、この税理士試験の科目合格制というのは、見方を変えるとやっかいな制度という一面もある。科目合格が一生残るということは、5科目合格し税理士試験を突破しなければ【一生税理士試験の受験の途中】という事も言えるのである。
そして、科目合格者でかなり多いのが、会計科目である。【簿記論、財務諸表論は合格し、そのあと、税法科目に合格しない】というケース。
そうであれば、自分は簿記一級を先に受験することをおすすめする。簿記一級は、合格率10%前後の競争試験と言われる試験に分類される。
どれだけ自身で勉強を頑張ればトップ10%に入ることが出来るのかという、自身の難関資格試験への適正判定をするには非常に適した試験だと感じている。
日商簿記試験に一定期間で受かるのか受からないのかは、その後の税理士試験の長い戦いの前哨戦としては、とても有意義だと思われる。
日商簿記になかなか合格しないようであれば、税理士試験自体を受けないという選択肢は、会計業界以外の自分に適正にあった他の業種などを探す意味でも非常に有意義であると考える。
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