101パン業界の本質を知ってパン職人をやめた話2

パン業界の本質を知ってパン職人をやめた話

パン職人は19歳から21歳までの3年でやめて、会計の勉強を本格的に始めた。自分の経歴を話すとまず間違いなく聞かれるのが、

お客様

なぜパン職人から税理士になったのですか?

という質問。
様々な理由があるが、今回はタイトルの通り『パン業界の本質を知ったから』という話。まず『うまいパンって何だね?』by北の国からの故菅原文太さん風  という話。パン屋にとって、うまいパンを作って消費者に届ける。これが本質。うまいパンとは、出来立てのパンの事だと思う。

人によって菓子パンが好きな人、フランスパンが好きな人、ドイツパンが好きな人があっても、基本的には出来立てのパンの方が絶対うまい※天然酵母のパンなどは日にちを置いたほうが、美味しい場合あり
そうすると、パン屋が考えなければいけないのは、いかに消費者に出来立てのパンを食べてもらうかだが、街のパン屋をイメージすれば分かる通り、お店に入って出来立てのパンは意外に少ない。

対して、エキナカに入ってたりするチェーン店のパン屋では、次から次へと焼きたてのパンが運ばれてくる。この違いは、前者のパン屋は職人が生地をこねて1次発酵、2次発酵を経て焼いて店頭に陳列するのに対して、エキナカのチェーン店パン屋は既に発酵が終わり焼く寸前のパンを工場で冷凍保存し、冷凍生地を店頭で解凍して焼いているところだ。

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パンは生地の仕込みから焼き上がりまで時間がかかるから、焼きたてなどそうそう何度も出せるわけがない。対して冷凍生地なら、生地の解凍から焼き上がりまで2時間もかからない。そしてアルバイトの子でも作業ができる。

パン職人目線か消費者目線か

これ、ついついパン職人の立場からしてみると、冷凍生地の便利さは認識しても、やはり手作りの良さがある作りたてはうちの方が美味しい、と思いがち。実際は確かに作りたてはうまい。ただ消費者にとっては作りたてでどっちが美味しいかより、お店に行った時に作りたてがあるかないかが重要。

そうすると、パンは職人が作るよりも工場で作って出来たてを頻繁に消費者に届けたほうが、満足する消費者の総数は絶対に多い。自分が朝早く起きて作ったパンより、工場で作ったパンの方が結果美味しいものが出来るなら、パン職人をやってる意味ないよな、と考え、違う道に舵をきった。

本質はなんだろうと考えた時に、今回のはパン業界の中だけの話。もっと大きな視野で考えれば、パン業界のライバルはファーストフード店や、吉野家の牛丼だったりする。

周りの飲食店が矢継ぎ早に低価格戦略を打ち出していたから、パン自体の相対的な割高感が否めず、自分が消費者だったらこのパンこの値段で買うか?という疑問もあったりした。自分がその業界の中にいると、なかなか冷静な目で見れなくなりがち。だからこそ、本質はどこかと考える為のアンテナは意識して張っていないとな、と思う。別の話で『それでも税理士目指しますか』という記事を書いているが、税理士試験の先には否が応でも会計業界での仕事が待っている。その本質を意識しながら勉強することが大事。

⇒次は税理士試験プラスαを学ぶ必要性という話です

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