人工知能が税理士の仕事を奪う

税理士になった時には仕事がない!?人工知能(AI)が士業の仕事を奪う

2014年は、クラウド会計ソフトfreee(フリー)やMFクラウド会計などの台頭により、「クラウド会計元年」等も言われました。そうして2015年、「クラウドの次は人工知能(AI:artificial intelligence)」と言われています。

ただ、今はクラウド会計ですが、これから税理士試験の勉強をはじめようとする皆さんが独立開業する7〜8年後には、人工知能の会計ソフトなどへの活用によって税理士の業務を大幅に縮小させていると思います。

 

ここで実際に起きている実例をご紹介しましょう。

現在アメリカの法律事務所では、人工知能の導入が進んでいるようです。

先日NHKで放送されていた「NEXT WORLD (ネクストワールド)私たちの未来」という、20年後の未来を想定した番組中で紹介されていました。

今まで大手の法律事務所では、弁護士の業務がピラミッド型になっており、法廷に立つトップ弁護士が使用する過去の判例等の法廷資料を経験豊富な中堅弁護士が用意作成し、その資料を経験の浅い弁護士がチェックする……という体制にありました。これが、人工知能を導入したことで、過去の判例等のピックアップ作業をその人工知能が代替するらしいのです。そしてこの代替する能力は、1台の人工知能で中堅弁護士6000人分とのこと。

その法律事務所では、中堅弁護士の業務は実質的に必要なく、人工知能がピックアップした判例データを下っ端弁護士がチェックし、その資料によってトップ弁護士が法廷に立つというのです。

 

こうした話は、そのまま税理士業界や、会計業界全体にも当てはまるはずです。

税理士も、弁護士が民法や会社法等の法律を扱うのと同様に、「税法」という法律を扱います。

そしてこの税法というのは税金の計算のやり方や取り扱いについて、できるだけ解釈の余地によって取り扱いが異ならないように、厳格に規定している場合がほとんどです。(もちろん所得税法の経費の考え方のように、包括的に規定している条文もありますが)

そうすると、上記の弁護士の業界に人工知能が導入されることと同様の事が、税理士業界に起きる。すると、税務訴訟の際の判例のピックアップはもちろん、経費に計上できるかの税務リスクの可能性のアドバイス等、これまで専門知識や経験が必要であった業務も人工知能に取って代わるはずです。

そうすると、第一段階としてクラウド会計ソフトの普及によって記帳代行等の帳簿作成の業務が縮小し、第二段階として人工知能の普及によって税理士の専門知識の業務も縮小していく世の中が待っていると想像できます。

そう考えると、テクノロジーの進化によって、会計の必要性はなくならなくても、会計業務に求められる業務やスキルは大幅に変わっていきそうです。

このように、社会がめまぐるしく変化している一方ですが、税理士試験という資格制度と資格取得に要する時間は、今のところ変わる気配はありません。

目次に