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税理士試験日の受験日の日程変更は初学者に有利
平成27年8月の本試験の日程が、今まで通例だった8月の第一週の火〜木曜日であったのが、第3週の8月18日(火)〜20日(木)に変更になった。
※国税庁ホームページより 平成27年度(第65回)税理士試験実施スケジュールについて
変更になった理由は8月21日(金)から実施される公認会計士論文式試験と日程を隣接させて、論文式試験受験者に税理士試験を受けさせないようにしたのではないかとか、色々な憶測がされているが、その理由を詮索してもあまり意味が無いので、この日程変更がもたらすインパクトについて。
受験初年度の受験生にとっては、恵みの二週間
理論
今回の日程変更については、結果的に通常の受験期間よりも2週間長く勉強できることになる。この2週間については、全受験生が平等に長くなるのだから、メリットもデメリットもないのではと思いがちだが、受験初年度の特に税法科目の受験生にとっては恵みの二週間と言える。
受験初年度の受験生が税法科目の受験期間の中で一番つらいのは、直前期の理論の刷り直し(覚え直し)作業。本試験当日から逆算した3,4ヶ月前くらいから理論を覚え直すわけだが、これが受験初年度に計算の論点と平行して実施するのが本当に辛い。
逆に、受験2年目以降の受験生にとって初学者に対するアドバンテージは理論の暗記がすでに出来ていて、受験初年度に理論暗記に充当していた時間を計算問題の精度を高めることに集中できることが大きく、それらの受験生はライバルになりうる初学者の受験生が理論に四苦八苦しているうちに、一日でも早く受験日を迎えたいのだ。二週間あれば、直前期の理論の刷り直しは無敵でしょう。
計算
計算も同様に、やっぱり初学者が有利な二週間になる。受験初学者が直前期に苦しむのは、大原簿記学校やTAC等の受験予備校で実施される直前模擬試験での受験二年目以降の受験生との点数の差。ここでなかなか点数が上がらずに、モチベーションを維持するのが難しい。ただし、受験二年目以降の受験生は所詮1年目に不合格した受験生であり、受験生予備校ではその方達に気を使って『上級者』などと呼ぶ向きもあるが、決して上級者ではない。本当の上級者は既に合格してその場にはいない。
ただ【受験二年目以降の受験生】といちいち言うのも面倒なので、言葉の便宜上『上級者』という事にする。
で!上級者が上級者たる所以。言い換えれば、受験になかなか合格できない理由は、多くの場合は受験勉強に対する自己マネージメント能力が足りないからである。具体的には受験予備校から与えられた問題を解きまくる。忠実にこなすことは得意でも、
『この問題をなぜ今解くのだろう?』
『なんの為に解くのだろう?』
『解いたら合格するためのどの様な実力が身につくのだろう?』
そして、受験予備校から与えられた教材だとしても、合格するために必要なものなのか否かの取捨選択能力が足りない人が少なくない。
これは、受験勉強が長くなれば長くなる人ほど顕著で、受験予備校での答練の点数は常にトップクラスだが、税理士試験本試験はなかなか合格できない。
そんな上級生にとっては、今回の日程変更は極めて長い長い二週間に感じられるはず。受験予備校は毎年8月第一週の火〜木の本試験日程に照準を合わせてカリキュラムが組まれており、通常のカリキュラムは7月中旬〜20日前後で終了し、そこからは受験生それぞれのラストスパート。自己マネージメント能力に委ねられる。今回はそれがほぼ一ヶ月…かなり綿密にマネージメントしないと、上級者は受験初年度の受験生の追い上げを許すことになるだろう。
番外編 一番泣いているのは受験予備校の講師かも…
今回の受験日程の変更で一番泣いているのは、実は受験予備校の講師だと思う。従来の税理士試験の日程であれば、第一週の火〜木曜日に税理士試験が終了し、その後数日は解答速報を作成し、試験を終えた受験生の手応えや今後の受験科目の相談などで忙しく働き、ようやく一息つけるのが第二週のお盆の時期。ここでようやく長めの休暇をとり鋭気を養って、9月の翌シーズンに向けて新人講師の指導や、教材作成に入っていく。特に新人講師の指導、教育はこのオフシーズンにいかに充実するかにかかっているから、8月の下旬はオフシーズンだがかなり忙しい。
今回の日程変更で上記の2週間が完全に消えてしまった…単純に考えれば、受験日が2週間後ろ倒しになったのだから、受験予備校のカリキュラムを2週間後ろ倒しにすればいいやと思いがちだが、来年も同じ様に税理士試験の日程が第3週の火〜木で確定しているならいいが、税理士試験の日程は毎年国税庁から受験日の前年12月頃の発表されるため、たった一度の日程変更で今までの9月第一週にスタート7月中旬に終了する日程の大幅変更は出来ないはず。
そのため、今年の税理士試験の現役講師の皆さんはは泣いている…はず!!!