事務所内、職員間の情報伝達をクラウド化する

このコンテンツは、クラウド会計ソフトの活用方法の本ではなく、中小企業の業務全般のクラウド化をするための内容である旨は既に述べましたが、では具体的に何をすれば中小企業がクラウド化していくのかという点について、ここから説明していきたいと思います。

まず、このページのタイトルの通り「会計ソフトの前をクラウド化する」ことこそが最優先課題なのです。
具体的には、このあと順序立てて説明していきますが、筆者が見てきた中小企業においてクラウド会計の活用が進まない理由を紐解いていくと、多くの場合は会計ソフトのみをクラウド化していることに原因があります。
つまり、クラウド会計ソフトを導入すれば事務所のクラウド化が進み、業務が効率化すると思い込んでいる。しかし実際には、クラウド会計ソフトを導入しても効率化を実感できないというのは前述の通りです。
では何がいけないのかというと、手をつける順番が間違っているのです。
手順としては、第一に、会計ソフトの前をクラウド化する。第二に、会計ソフトをクラウド化する。これが正しい手順なのです。

会計帳簿はどうやって作るのか
では、具体的な方法について述べる前に、会計ソフトをクラウド化するだけでは中小企業のクラウド化が進まない理由について、もう少し詳しく説明していきます。
さて、会計帳簿はどうやって作るのでしょうか。
会計ソフトに複式簿記の仕訳を入力していくために、その元となる資料が必要ですが、その資料はどこにあるでしょうか。
おそらく多くの場合は、中小企業の中にあるサーバーや、ファイリングされた紙資料の中にあるはずです。
当然、その資料がなければなければ会計帳簿は作成できません。そのため、事務所に足を運んで業務を行うことになるわけですが、ここで皆さんにお聞きしたいことがあります。
事務所にわざわざ足を運んで、事務所のサーバーや紙資料などを見ながら会計帳簿を作成するのであれば、クラウド会計ソフトを使う意味はあるのでしょうか。
必要はない、とまでは言いませんが、非常にクラウド会計ソフトの特性を活かした使い方とは言えないはずです。
なぜなら、前述の刀と鉄砲の例えの通り、クラウド会計ソフトというのは、遠距離で操作ができ、多人数で操作ができ、かつ修練度のさほど必要がないという特徴があるのです。
しかし、従来の業務の通り、事務所に足を運び事務所の資料を見て事務所のパソコンで会計ソフトに数字を入力しながら使用するのであれば、事務所にインストールされた会計ソフトで入力した方がむしろ効率的ではないでしょうか。
つまり、この使い方をするのは、鉄砲を持って刀の戦い方をしているのと同じことなのです。
では、どうすれば良いのか。
答えは非常に簡単で、会計ソフトだけをクラウド化しても意味がない。
そうであれば、会計ソフトに入力する元となる資料をクラウド化してしまえば良いということになります。
これが、自分の言うところの、「会計ソフトの前をクラウド化する」ということなのです。
ただ、これが言うは易く行うは難しです。それが、できていれば中小企業は非常に効率的な業務ができるはずですが、そうはなっていない現状があるのです。
まず、クラウドという話になると必ず、セキュリティは大丈夫なのかという質問が上がります。
本書では、クラウドに情報をアップすることについてセキュリティの安全性を議論するつもりはありません。
ただ、会計業界の同業者の間でよく聞くのは、無知や勉強不足を棚に上げ、なんとなくセキュリティが不安という理由を持ち出し、クラウドを不安視する風潮があると感じています。
これは、産業革命の時にあった話だそうですが、馬車から車に移動手段が変わってきた時に、車なんて危険なものに乗っては行けないと、最初は皆言っていたそう。ですが、10数年後にはほとんどが自動車を乗るようになりました。これと同様に、クラウドを使用することについて何が危険でどうすれば安全なのかをしっかり理解してから判断するべきだと感じています。セキュリティの話は、第4章でも解説していますので参考にしてください。
そして、もう一つ中小企業のクラウド化を阻む大きなハードルがあります。

それは紙です。

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