中小企業にとってクラウド化の4つのメリットとは

最大のメリットは「情報の一元化」

前項では、クラウド会計ソフトのメリットは会計帳簿の自動同期や自動作成に限らない。それだけでは、事務所全体のメリットにならないとお伝えしました。
では、クラウド会計ソフトを活用した際のメリットは何なのかを掘り下げたいのですが、クラウド会計ソフトのメリットは、結局のところクラウド会計ソフトも含めたクラウドコンピューティング(以下、クラウド)のメリットを理解しないと話ははじまりません。
では、クラウドのメリットとは何でしょうか?
システムエンジニアなのか、クラウドを会計実務で使うユーザーなのかによっても感じるメリットは異なるはずですが、後者の立場で感じるクラウドの最大のメリットは「情報の一元化」です。
情報の一元化とは、簡潔に言ってしまえばクラウド上の情報を集約して管理するということです。「クラウドのメリットを一言で」と言われればこれが全て。これが本質なのです。
つまり、クラウド化の意義を「情報を一元化すること」と捉えると、そこから派生したメリットがクリアになってくるのです。

情報の一元化で実感する4つのメリット

クラウドの活用によって情報を一元化すると、さまざまなメリットを実感できます。その中で、会計実務を行う者として特に実感するのは、下記の4つです。

情報の見える化

クラウドによって情報を一元化すると、まず格段に情報が可視化されることに気づくでしょう。
具体的な仕組みづくりや運用方法などは第3章の「コミュニケーションのクラウド化」、第4章の「情報共有のクラウド化」で後述しますが、情報をいつでもどこでも見えるようにすると、情報の伝達スピードや精度が従来よりも格段に向上します。
情報の見える化が向上すると、業務は効率化していきます。言い換えると、情報を可視化できていない、分散した状態であれば、事務所の中の紙資料を探す手間や職員同士の業務連絡での情報伝達の行き違いが発生します。中小企業にはびこる業務の非効率は、ほとんどが情報の分散に起因しているのです。

業務の分業化
情報が一元化され、その情報が見える化されてくると、業務を分業できるようになります。この話は第2章の「人材活用のクラウド化」で詳しく触れていきますが、弊事務所では会計実務の業務はもちろん、ホームページなどでの情報発信なども含め、多くはクラウドを通じて業務を行う「クラウドメンバー」で運用をしています。
その運用を可能にしているのも、結局のところ情報の一元化、見える化ができていることに他なりません。
会計業界では、ずいぶん前から製販分離が叫ばれていますが、うまくいっていない事務所も少なくないはずです。
なぜうまくいかないのかを紐解いていくと、業務を分業しようとしても今どこで誰が何をどれくらいの進捗で進めているのかを見える化できてないために、結局は属人性に頼るという結論になってしまうのです。
逆に、その情報がクリアに管理できれば、分業も可能になるのです。

移動時間の短縮
クラウドで情報を一元化することで「見える化」が進み、かつ業務の分業化進むと移動時間が短縮します。
例えば、事務所にしかない資料を確認する。それだけの理由のために事務所に足を運ぶ必要はありません。会計帳簿の作成はもちろん、その会計帳簿の元となる資料も、ほとんどはクラウドで管理しているので、会計帳簿を作成するために事務所へ足を運ぶ必要もありません。
この話についても後ほど詳しく解説しますが、クラウドでの業務を突き詰めていくと、事務所で業務を行う必然性が下がり、当たり前のように消費していた移動時間を大幅に短縮することができるのです。
ちなみに、筆者は2017年に2週間ほどかけて全国各地でセミナーを開催していましたが、滞ることなく実務を進行できました。これもクラウドあってのことと実感しました。

明細の自動取得、会計帳簿の自動作成
そして最後に感じるメリットが、明細の自動取得、会計帳簿の自動作成です。
これも、とどのつまりはクラウドによる情報の一元化がもたらすメリットであり、クラウド上にある会計ソフトとモバイルバンキングなどの明細のデータを同期(アグリゲーション)しているからこそ可能なメリットなのです。

木を見て森を見ずではメリットは見えてこない
ここまで読み進めていただくと、会計帳簿を自動作成してくれるというメリットは、さほど大きなものではないと理解いただけたのではないでしょうか。
例えば、会計帳簿の明細を自動で取得する時間とクラウド会計を使って在宅で業務を行った時の移動時間の短縮を天秤にかけた場合、移動時間の短縮の方が効果として大きいはずです。
また、顧問先から預かった資料がどこにいったかを探す手間やその資料を整理しにいく事務所への移動時間……。このような時間を効率化していくためにクラウド会計ソフトを活用するのだという視点で考えると、クラウド会計ソフトの本当のメリットが見えてくるのです。

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