負のスパイラル後編

独立開業した税理士が失敗に陥る負のスパイラル 後編

前回に引き続き、税理士紹介サービスについて経験からお伝えします。

例えば月に3万、決算14万。年間50万円の顧問報酬をいただく場合、税理士紹介会社に支払う手数料は27万5千円です。
この手数料について人に話すと、殆どの方は異口同音に「高い!!!ぼったくりですよ」と顔色を変えます。税理士目指す16私ももちろん「高額」と思います。しかし、このサービスはけっしてぼったくりではありません。独立開業をしたにもかかわらず、自分自身の力で仕事を取ってこられない営業力に難点があるのです。
そうした問題を抱えた税理士が、税理士紹介会社の良いお客さんになっているに過ぎません。
こうした状況をかんがみて、仕事を獲得するのにこのサービスのみを使用していたら、独立開業すぐの若手税理士の事務所にとっては相当痛手となるでしょう。税理士紹介サービスの利用は、独立間もなく、全く仕事がない時期であれば、高額の紹介手数料も致し方ないかもしれません。しかしながら、紹介サービスでしか顧客を獲得できない場合、間違いなく負のスパイラルに陥ることになります。
例えば前述の話であれば、実質的な年間の顧問報酬は50万円から紹介手数料27万5千円を差し引いた22万5千円しか残りません。

 やじるし
売上が少ないから、数をこなす

   やじるし

数をこなすためには、スタッフを雇う

やじるし
雇ったスタッフに継続した仕事を提供する

やじるし

スタッフを雇用するために、薄利な仕事をとる。

一見顧問数も売上も一定額を確保できても、税理士紹介会社に支払う紹介手数料と紹介手数料を支払っていくと、なんと実入りの少ない顧問報酬になるか。

スタッフを雇うとなると、自宅で開業した場合でも新たに事務所を借りる場合でも、地代家賃は馬鹿になりません。
せっかく開業をしても、このような事務所運営では、誰のために働いているのかわからなくなってしまいます。税理士目指す19

先ほど、税理士紹介サービスの紹介手数料は年間報酬の55%であり、高額だとお伝えしました。

税理士紹介サービスは年間報酬の40−50%位が相場のようです。そうすると、その相場に比べてもこの税理士紹介サービスの紹介料はやや高いかもしれません。安いサービスでも40%程度はくだらないようですので、いずれにしても結構な負担です。

ただ、この紹介料の相場が高いという事実が実証しているのは、裏を返せば税理士が独立しても自分で顧客の開拓ができない、ということ。

もちろん税理士紹介サービス会社もビジネスです。55%の紹介料で誰も利用しないなら割合を下げるでしょうから、55%の設定でも需要があるわけです。
市場が縮小している業界において、税理士が新たに開業すれば、限られたパイの取り合いになります。すると、特に営業活動が苦手な税理士にとっては、新規顧客は喉から手が出るほど欲しい。しかし、紹介会社を使うと事務所経営が負のスパイラルに陥る。

そうした負のスパイラルから脱する唯一の方法は、

自分自身で顧客に指名されるブランディングを確立すること

そのことはまた別の機会に話したいと思いますが、税理士試験に合格するのも長い期間を要しますが、独立したらこのような事務所運営が待っていることを頭の隅に置いておいてください。

次は従来の経理業務を根本から変革するクラウド会計freee登場後の会計事務所の形です。

freee登場以後の

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