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クラウド申告freeeにダメ出しとエール

井ノ上陽一税理士のブログ【EX-IT 雇われない雇わない生き方 https://www.ex-it-blog.com/】にクラウド申告freeeの記事がありました。
自分も5月の確定申告業務にて申告freeeを使ってみてわかるわかるという話が多かったです。
自分も物申したい事がありますので筆をとりました。

まずはEX-ITを読んでみて!

まず、クラウド申告freeeの話をするには、とても詳しく機能の紹介や不具合などについて考察されている、EX-ITの【法人の税務申告ができるクラウド申告freeeレビュー。今買ってはいけない・今売ってはいけない。】をお読みいただいてその後、自分のブログもお読みください。ではいってらっしゃい。

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はい!戻ってきていただいてありがとうございます。

4月より正式にサービスが開始されたクラウド申告freeeは、クラウド上で株式会社などの法人の税務申告が可能になるというサービス。
詳しくは井ノ上税理士が説明してくれているので、具体的な話は割愛します。

で、実際に使ってみての機能的なところはどうだったのかと言うと井ノ上税理士の指摘に同意です。
例えば、申告別表が揃っていない。納付書が打ち出せない。別表ごとにPDFを出力しなければいけないなど、そもそも

まだ正式版として出すには疑問符がつくようなところは多かった

のは事実です。
ただ、後述しますがこれは今までの申告ソフトとは全く別のクラウド上で完結できる申告ソフトである将来性を考慮すれば、上記の枝葉末節な機能の話は時間が解決してくれる話だと思っていますので、個人的には

しゃぁねぇぇなぁぁ

位の感覚です。

gif

自分は、別の件でこのクラウド申告freeeについて、非常に怒った事象がありました。そんな話を少々。(根っこの怒りの部分では井上税理士と同じだとは思いますが。。。)

経緯

事の経緯はこうです。
3月決算5月申告のお客様の確定申告をクラウド申告freeeで作成しようとしました。
井ノ上税理士の指摘の通り別表も全て揃っているわけではないのはわかっていたので、比較的売上規模も小さく、法人税別表での税務調整もほとんどない会社限定でした。
その中のある一社は、常に帳簿は自動作成が構築がされているため、4月下旬頃には会計帳簿が完成し、4月末日には確定申告書のドラフトをクラウド申告freeeでメンバーが作成していました。
ただ、5月の下旬の提出予定まではまだだいぶ時間もあるので、しばらくチェックはせず5月の15日に申告書のチェックをするための申し送り事項の共有などをしていた時にメンバーから。

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と言うのです。

この話は、税金を計算する上での基本中の基本の話です。国税通則法118条(国税の課税標準の端数計算等)
そんな大事な話が4月末にあったならなぜすぐに報告しないのかと、メンバーに注意したのは当然ですが、すぐに廣升事務所担当のfreeeのサポートメンバーのグループチャット(チャットワークで作っている)にその連絡をしました。

その不具合は、自分が報告をした5月中旬の段階では、既に解決した事象だったのか、特に同じ事象は見られませんでしたとの回答。
ただ、メンバーは4月下旬に発生した事象の申し送り事項の共有のため、不具合の画面キャプチャーも撮っているので、こちらの勘違いの類でないのも事実。

なので、自分はサポートメンバーにお願いしました。
今発生していなくても4月末に発生していたのは事実で、正式版として出している訳です。
そして、この不具合は税金計算の基礎中の基礎の話なので、こんなミスがある様なら誰もこんな申告ソフト作ってくれないよ。
だから、なぜそんな不具合が発生したのか早急に調べて報告をお願いします。と

その連絡から1時間程度後に担当者から早急に調べてみます。の回答
しかし、それから1日返事がなく、連絡があったのは

特に原因の分析などもなく実際に不具合が起きた正確な日時と事象を詳しく教えてください。との返事。

自分はこの返事が来るまでは、別に怒ってませんでした。
まぁもう不具合が解決されている事象だし、しっかりと原因究明してくれれば良いよ。その為のフィードバックだくらいの感覚でした。

でも、この返事が来て

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5月中旬といえば、3月決算の申告期限も迫って来ている時期。
もし、こんな基本的な不具合が他でもみられたら、そもそも別の申告ソフトで作るの必要があります。(廣升事務所では申告ソフトはNTTデータの達人シリーズを使っていて結局こちらで作ったものが多かったです。)
そんな時に、1日放置して、しかも自社での検証もせず、こちらに詳細を聞くってどう言う事でしょう。そもそも、クラウド上で操作しているのですから、いつログインして誰が操作したか位のデータは持っているはず。

そんな怒りがふつふつと湧いてきて言いました。

自分たちは、君たちの人柱じゃないんだよね!と 実際に送ったチャットはこちらです。

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井ノ上税理士も有料βテストという話を出してましたが、自分も同じ感覚でした。

有料βテスト

有料β(ベータ)テストという言葉があります。
ゲーム用語でベータテストとは、ユーザーに発売前に使ってもらい使用感やエラー・バグを発見してもらうことです。
ゲーム発売後もエラーやバグが続出すると、「有料βテストか!」と騒がれることがあります。
近年はネット経由で簡単にエラー修正や改善ができることの裏返しでもあるのです。
とりあえずリリースして、徐々に改善していくというのは、ゲームならまだありでしょうが、税務申告ソフトではありえません。

申告freeeは残念ながら完成品ではありませんでした。
5月にリリースしなければいけない理由(経営上、IT補助金上)あったのでは?と思うくらいです。

一部の資料で、この有料βテストを公言したのが今回の最大の問題でした。
購入後に聞かされた日には、大地が震えるくらい怒りました・・。

【EX-IT (法人の税務申告ができるクラウド申告freeeレビュー。今買ってはいけない・今売ってはいけない。より】

 

そして、その後の対応がまたひどい。
更に一日経過すると、不具合の事象はまだ調査中。そして税金計算の不具合は慎重に対応する必要があるので、

窓口を一本化しました

と 担当者の名前と電話番号と担当者のメールアドレスの連絡。
そして、その連絡から半日後、その新担当者からのメールは申し訳ありません。以後開発に精進します的な決まりきった定型文。

そこで自分の怒りは頂点に。

そして、引き継ぎ前のサポートメンバーKさん(グループチャットに入っていましたが責任者的位置づけで直接の対応はしていなかった)に電話して15分ほど、話をしました。(早い話は説教です。)

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自分が何をそんなに怒ったのか

それは、

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会計ソフトと税務申告ソフトって違うんですか?と聞かれると、サッカーを例え話にだすのですが、税務申告ソフトというはゴールキーパー。会計ソフトはゴールキーパー以外のプレイヤー達。

会計ソフトはサービスを開始した時に、多少の不具合があったとしても、ある程度の期間のうちにバグを更新しても、大きな問題になりにくい。※もちろんだからと言って完成度の低いものを出していいということではありませんが。

対して税務申告は、1年間の決算の集大成。それはたった一度の失策でも命取りになる。

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だからといって、もう既に実績のある他の申告ソフトの様に安定感のある完成品に仕上がっているとも正直思ってはいません。最初はいろいろ失敗もあるでしょうと…

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大事な数字の計算をしていて、基本的かつ致命的な論点で不具合が生じているという意識さえあれば、最初に自分か連絡した時点で、電話の一本でもかけてきて

スーツ ビジネス

ってなるはずなんです。そこら辺の意識が欠如しているから、対応は遅いしチャットやメールのやり取りですまそうとするのです。

さらに、もっといえば、この話だけで怒っているわけではなくて、井ノ上税理士も指摘していた、別表がない話。前述のとおりそれ自体はしょうがない。間に合わないものをとやかく言うつもりは自分はありません。
でも、例えば受取配当金の別表8は4月の段階では5月中旬に完成予定と表示されていたのが、5月中旬になったら5月に下旬になっていました。

そして、期限ギリギリ5月28日でも5月下旬予定の別表8は間に合わず結局は達人(申告ソフト)でつくるはめに。みたいな話もありました。

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と、思うわけです。もし、作成が遅れているのなら、遅れることがわかった時点で周知を徹底するとか。

その別表が5月申告に間に合わないのであれば、最初から別の申告ソフトで作成するのですから。

この話だけに限らず、個人的にはそういう

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という感じが小さいところからふつふつと積み重なった結果が、怒り爆発となったわけです。

 

ずいぶん長文のダメ出しをしましたが、誤解してほしくないのは

freee憎し!

で書いたわけではないということです。

事務所のサイトコンテンツを見ていただければわかると思いますが、1ユーザーと言う立場であれば誰よりも多くfreeeを使い誰よりもこのプロダクト愛がある自信があります。

51-12 だからこそ、厳しく指摘させてもらいました。憎いだけダメ出しするだけなら自分はわざわざ労力かけてブログに書いたりはしませんので…

で、厳しく言うのはこの辺にして、ここからはやっぱりそれでもクラウド申告freeeに大きな期待をしている話です。

完全クラウドの税務申告ソフトの可能性

このクラウド申告freeeは、完全なクラウド型の税務申告ソフトです。
まず、このプロダクトを作ってくれたfreee開発陣の皆さんにまず、敬意を評したいのです。

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このクラウド申告freeeというプロダクトのもつポテンシャルを考えたら、前述したダメ出しのたぐいなんてなにを小さい話をしてるんだかって感じです。

自分はそう感じています。

ただ、

税務申告ソフトをクラウド化する意味ってあるのか?

おそらく、殆どの方はそう思うだろうし、現状であればさほど大きなメリットを感じにくいのは正直なところだと思います。
その理由は、会計事務所の業務自体がまだオフライン中心だからです。
これは、別の記事【クラウドストレージはDropboxよりグーグルドライブの理由】で話をしていますが、すべての業務をオンライン思考(データの共有から業務遂行の全てをオンラインのみで完結させる思考)で進めると、業務のスピード感や効率性が段違いになります。
【クラウドストレージはDropboxよりグーグルドライブの理由】記事では、下記のイメージ図でオンライン思考のGoogleDriveとオフライン思考のドロップボックスを比較していますが、クラウド申告freeeはこの会計事務所にとってオンライン思考の、完成を意味しているのです。

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ではなぜ、申告ソフトまでオンラインにする必要があるのか。

会計ソフトであれば、お客様が会計帳簿を作ってオンラインでチェックしたり順次試算表が確認できたりとメリットを感じる反面、クラウド申告freeeであれば確定申告は多くの場合は年に1度ですし、それならオフラインで事務所にインストールしたソフトでいいではないかという向きも自然だと思います。
ただ、今フィンテック(FinanceとTechnologyを合わせた造語)という言葉がバズワード化していますが、これから更にお金の周りの情報が、オンラインですべて繋がっていきます。
もうすでにfreeeや他のクラウド会計ソフトでも始まっていますが、オンラインで作った会計帳簿を、そのままオンライン上で銀行の与信判定に使用したり、freeeから銀行振り込みの手続きが出来たりと会計業界という垣根を飛び越えて業務がオンラインで遂行されていきます。
そうであれば、税金計算までオンラインで完了できていれば、与信判定はより正確なものになるでしょうし、税金の支払いサイクルや資金繰りを含めて経営判断の予想などもオンラインで完了します。

自分も数年前までドロップボックスが使いやすいと思っていたオフライン思考でしたのでなおさら実感しますが、オンライン思考での業務当たり前になると、もうオフライン思考には戻れません。

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なにが戻れないかというと、本質的な業務以外、具体的には資料をやり取りするとか管理する。あるいはある資料を別のフォーマットに作り直すなどの、今まで疑いもしなかった当然に発生していた事。

なんの疑いもなく

これが仕事

だと思っていましたけど、これは仕事じゃない。ただの時間の浪費。つまりは人生の無駄遣いだと気がついてしまったら、もう元には戻れないのです。

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フィンテック(fintech)はチャンスでもピンチでもある

フィンテックで、お金周りの情報がオンライン化する。そんな話をすると、会計業界は保守的な業界だしクラウド会計だって消極的な業界人が大多数。

だからそんな世の中こないこない!と言われることは少なくありません。

でも本当にそうなのか

自分は今の会計業界の状況は、幕末の黒船来航にそっくりだと思っています。
国内で、攘夷だ!開国だ!と争っているけれど、国内で争っている場合ではなくて敵は西洋列強だ!って話。
クラウド申告freeeは使えるか使えないか。確かに上記で指摘したとおり今回の5月申告では残念ながらダメ出しする余地が多かったのは事実。
でも、やっぱり税務申告もオンラインにしないといけないのです。

なぜなら会計業界がオンラインで戦えなくなったら、それこそ銀行業界や証券会社、クレジットカード会社などが、オンラインでつながる業務を拡大して気がついたら会計帳簿はおろか、経営計画も金融機関に提出する事業計画だって全て、会計業界以外のシステムで自動作成。

税理士がただ印鑑を押すだけという何の価値提供もできない業界になってしまいます。
そうではいけない。会計業界という鎖国的な発想から、オンライン思考でフィンテックの大海原にうってでなければ、人口知能時代は勝ち残っていけないのです。

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そう考えれば、クラウド申告freeeは会計業界を大きく発展させる可能性を秘めたプロダクトだと捉えることができるはずです。
そんな大事な大事なプロダクト。
今回のようにダメ出しもしますが心のそこから応援してますので

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